わたしにとって世界は、いつも陽が沈んだあとの夕暮れのようだった。あの日が訪れるまではーー。森に囲まれた湿原に春が訪れるといっせいに小さな花が咲く。5枚の花弁を持つその花を、人びとは星の花と呼んだ。湿原のすぐそばに暮らす少女リシュの目は、光に弱く、いつも遮光眼鏡で覆われていた。その瞳が、いつかあるはずのないものを見つけ、母の、そしてこの国の、過去を開いていくとも知らずーー。
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