「何のために生まれ、何をして生きるのか」「生きる目的は、不要である」「人生は喜ばせごっこ」遅咲きの天才・やなせたかしは、暢(のぶ)夫人と二人三脚で運命を切り開いていく。大人から酷評された「アンパンマン」がTVアニメになり、日本中から愛されるようになったとき、やなせは、すでに70歳間近。戦中派のニヒリズムから脱し、ついに自分の作品の「理想」と一体となっていく。夫妻の生涯と国民的な作品世界をたどり、今こそ必要な「哲学」を解き明かす。「弱いアンパンマンは、あなただ!」深くてやさしい言葉が、断絶と孤立の中で立ち尽くす現代人の心に沁みとおる!【目次】から第一章 あまりにネガティブな才人第二章 戦中派・やなせたかしの絶望第三章 小松暢と出会って第四章 明暗が分かれたアンパンマンと暢夫人第五章 七十七歳からのスタート