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  • Author中西寛 飯田敬輔 安井明彦
  • Publisher日経BP
  • ISBN9784296120727
  • Publish Date2024年7月

漂流するリベラル国際秩序

ロシアのウクライナ侵攻、中国のアメリカ一極体制への挑戦――。米国主導のいわゆるリベラル国際秩序の揺らぎが指摘されるが、その実相はどうなっているのか、米中の覇権争い、国際通商体制、安全保障、米欧の政策潮流などはこれからどこに向かって行くのか。本書はこれらの問いを、とりわけ西側世界への影響や課題という視点から考察するもの。各分野の第一人者が一堂に会し問題点を論じる。
 
 第1章では、中西寛・京都大学公共政策大学院教授が、リベラル国際秩序の歴史と将来を論じる。中ロやトランプ氏などの影響だけでなく、自由主義と秩序の根本的なジレンマに加え、工業国家モデルを揺るがす新たな社会状況に即した安定的な政治秩序の発見が将来を左右すると主張する。
 第2章では、飯田敬輔・東京大学大学院法学政治学研究科教授が、金融・通貨体制を巡る米中対立を分析した。米国が通商分野で対中攻勢を強める前から、中国は米ドル覇権の弱体化を狙い、西側主導の国際経済体制の内側から外側へと活動を広げてきたと指摘、米中による共同覇権は困難だと見る。
 第3章では、安井明彦・みずほリサーチ&テクノロジーズ調査部長が、米国の経済政策の潮流変化を分析した。市場原理重視の新自由主義から、「大きな政府」による課題解決重視の「新ワシントン・コンセンサス」への転換が、今後の国際秩序にもたらす期待とリスクを論じている。
 第4章では川瀬剛志・上智大学法学部教授が、国際通商秩序の変容と行方を展望した。トランプ米政権以降、従来の多国間自由貿易体制は、安全保障化、分断化、非法化の3点で変化しつつあり、今後もこの流れが続くことを前提に自由貿易体制のver.2 を探るべきだと指摘している。
 第5章では岩間陽子・政策研究大学院大学教授が、アジアが正面となる「新冷戦」時代に戦争を防ぐ道を考察した。日独が米国を支えつつ、NATO と日韓豪、ニュージーランドがグローバル・ウエストの安保協力体制を築くことや、中ロを含む軍縮・危機管理と信頼醸成の枠組み創設を提唱する。
 第6章は、日本経済研究センターの刀祢館久雄が担当。EU が新たな地政学的現実を前に、理念と実利の二兎を追って揺れる姿を描く。規範や理念を掲げリベラル国際秩序を守ることは、EU にとって利益確保と存在意義のアピールにつながっているという見方を提示した。

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