浮世の隠し事、影聞きが暴いてみせやしょう
隠し事を探っては、金に換えて飯を喰う――。
江戸に初雪が積もる中、影聞きの伝次は頬を腫らして、「山伏の井戸」を目の前に立ちすくんでいた。歯痛に効くと評判の名水が湧くという、その井戸のある長屋に、池野唐舟と名乗る口中医が住んでいるらしい。長崎帰りで折り紙付きの腕というが、患者の凄まじい絶叫が聞こえてくるので、体が固まってしまったのだ。あまりの恐ろしさに踵を返しかけた伝次だったが、結句、唐舟に巨大なやっとこで虫歯を抜かれる羽目に。だが、効験あらたかな井戸水のおかげか、不思議と痛みが引いたのだった。治った勢いで一杯引っかけていた伝次の前に座ったのは、さきほど悲鳴をあげていた患者の嘉平。嘉平は丸抜き屋の手下で、家主が店子を追い立てる「店だて」の手伝いをしているという。追い立ての目処はついているが、唐舟の元で働くおみつが厄介なのだとうそぶく。きな臭さを嗅いだ伝次は、飛脚屋の浮世之介に知らせに足を向けるが……。粋でかぶいた男伊達・浮世之介が心疲れた人を救い、心むしばむ悪者を始末する!
200万部突破の大ヒットシリーズ「鬼役」の著者が描く、痛快勧善懲悪時代小説。シリーズ第三弾!
【編集担当からのおすすめ情報】
前シリーズ「死ぬがよく候」も重版出来!
本シリーズ第一巻『月踊り』、第二巻『ひとり長兵衛』も重版出来!!
おかげさまをもちまして、売れ行き絶好調です!!!
坂岡真独自の世界観が堪能できる、唯一無二の風流時代小説をお楽しみください!