ボクシングで、中華で、歌人。
待望のセカンドアルバム的短歌集。短歌280首収録。
「ファンです」と貴方は俺に言ったけど今は俺も貴方のファンです
――千原ジュニア
これら愛すべき物語とはありふれたものなのか 彼が特別に引き寄せる運を持っていたからなのか
答えは前者なのだと思う しかしその発見が偶然か必然かは こうして本になった今 後者なのだ
読むと日常が退屈だとはもう言えまい 人生いつどこにおいても名場面とはその人次第なのだから
――ILL-BOSSTINO (THA BLUE HERB)
【収録歌より】
町中華屋の長男として舞い降りたばかりにすべての床のぬるぬる
マンションのエントランスにキャバ嬢の名刺散らばる美しい朝
旅館の夜の母のいびきを聞きながら遠く小さく星のひとつぶ
恋人が帰ったあとに立ててやる伏せてた家族写真を棚に
冬の夜の線香花火の先っぽに閉じ込めておけ愛なんてのは
装丁=鷲尾友公