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  • Author中野慧
  • Publisher光文社
  • ISBN9784334105877
  • Publish Date2025年3月

文化系のための野球入門 / 「野球部はクソ」を解剖する

日本のインターネット空間では、電通やJASRACと並んで「野球部」が悪の代名詞となっている。曰く、「中学・高校時代の野球部が偉そうで嫌いだった」「野球部員たちが女子生徒に対してアリかナシかの容姿ジャッジをしていた」「文化部員たちを虐げていた」「野球部の大会で真夏に全校応援に駆り出された」等々……。だが、「野球部」や「体育会系」を批判する論調は根強く存在しても、その解像度はかなり粗い。なぜなら、そこには当事者がまったくいないからだ。一方、スポーツジャーナリズムは野球やスポーツの価値そのものを疑うことはなく、すでに確立されたスポーツの価値に乗っかったままスポーツを礼讃することばかりに専心している。また、野球やスポーツをテーマにした書籍や学術的な研究は数多あるが、そのどれもが「選手個人」や「あるチームのある時期」をピックアップして細かくディティールを伝えるものにとどまっている。私たちと「野球」がどのように付き合っていけばよいか、という議論はほぼ存在しないと言ってよい。「野球文化が今の形になっているのはなぜか」という根本的な問いを通じて、これまでは非常に断片的だった野球をめぐる語りを整理し、ミクロからマクロまで、この国の「野球文化」に見通しをつける。

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